影響力

小学3年生の頃、担任の先生がずーっと飼っている金魚の飼育係を任された。当時30センチくらいあった金魚。
何かを任されたのがこの時初めてだったのと大好きな先生だったから責任持って金魚の世話をした。水槽の苔取りから水替え、餌やり。とにかくできることは何でもやった。
それから数年後、休み時間に当時の担任の先生に呼ばれて「金魚が死んじゃった。何かを遺してあげたいから魚拓の作り方を教えて欲しい。お前魚好きだっただろ?」
先生と一緒に魚拓を2枚取ってその1枚をもらった。
僕も先生みたいな先生になりたい。そう思いのちに教員を目指した。
紆余曲折あり結局教員免許取得まではいかなかったが先生みたいな大人になろうって今でも思っている。いつも大人が正しいとは限らない。間違いは認める。当たり前だけど当たり前が出来ない大人はたくさんいるので僕はそうならないように常に気をつけている。

矢口高雄先生

昨日、矢口高雄先生の訃報に自分でもどうしていいかわからないくらい気持ちがどこかに行ってしまった。
子どもの頃から矢口先生の漫画が好きでよく真似して描いていた。
いつか僕も釣りキチ三平の作者のように絵が上手くなりたい。そう思っていた。大人になってもそこは変わらない。そして今も。
あれはまだイラストレーターを目指す前の頃、初めてファンレターを送った。
数日後、なんと先生からお返事のお便りを頂いたのだ。嬉しくていつも手帳に挟んで、友達に自慢もした。
矢口先生は30歳で銀行員を辞めて漫画家を目指す。僕もかなりの遅咲きイラストレーターだが、「皆が寝ている間が伸びるんだよ、努力を惜しまないこと」という言葉があったからやってこれた。その後も幾度となく先生に手紙を書き様々な事を報告した。
展示会に小学生の娘と行った時、撮影禁止だっただろうに娘が持っていたカメラを見て、一緒に写真を撮ろうと言ってくださった。その節はありがとうございました。そんな娘も高校生。大きくなりましたよ、生意気だけど。
僕の目標はいつでもこれからも矢口高雄先生。大丈夫。だって先生に教えてもらってからずーっと同じ絵の具使ってるんだぜ。っていつも自分に言い聞かせている。
矢口先生、ありがとうございました。

国道134号線

農道を抜け、海沿いを走りふと停めたところで海を眺める。
途中で無人販売の野菜を買い、リュックに詰めてまたトコトコ走る。
都心に向かう道はいつも後ろからつつかれる様でとにかく忙しない。
けど、地元の道は少し行けばのんびり走れる道がたくさんある。週末はツーリングに来ているライダーともよくすれ違いたまに挨拶(ヤエーって言うんだとか)をする。
バイクに乗る人がツーリングをする意味がようやく分かった。特別なことは何もいらない。ただ自分のペースで気ままに走れればそれでいい。
今日もリュックの傍からはみ出た大根の葉を風になびかせながら国道134号線を走る。

始めどき

母がピアノを習いだして、よく音楽の話をするようになった。
三女もピアノを習っているから一緒に弾きたいという目標が出来たらしく毎日少しずつ練習しているらしい。
妻も僕もバイクに乗りだしたところ、義母も小型二輪免許(125ccまで)をとるべく教習所に通うそう。
みんな新しいことを始めた。
20歳の頃、将来の事で悩んでいて、未経験の事を始めてみたいと相談したときに「やりたいと思った時が始めどきだ」と背中を押してくれた。これは今でも最近の様に覚えている。
尊敬する漫画家の矢口高雄先生は30歳の時に銀行員から漫画家へと転身されていて、カーネルサンダースは65歳でKFCを創業している。僕だって35歳で突然イラストレーターを目指し始めているのでこれだけは言える。
やりたい事に遅いはない。

アニマルQ 第3回

家庭画報12月号 
野村潤一郎先生のエッセイ『アニマルQ』挿絵を描いております。
今回で3回目となっており動物と人間の共存をテーマに描きました。

安心感

初めてバイクで初めて県外に出た。
高速道路はまだ怖いので一般道で片道50キロ。週末とは言えども都内の道路はなんとなくみんな急いでいる感じがする。車間距離も心なしか狭く、後ろからつつかれているよう。
帰り道、道を間違えたついでに海沿いを走ったらなんとも言えぬ安心感。無事に地元に帰ってこれた。
ホント、都会は怖い。
この日は天気も良かったので海沿いでバイクを降りた。海岸には様々な人が日の入りを待っている。ハロウィーンパーティーの帰りか仮装した子供たちが靴のまま海に入って大笑いしていたり、結婚式を終えたばかりの新郎新婦が夕日をバックに撮影していたり、コスプレイヤーも楽しそうに撮影していたり、近所のおばあちゃんがひとりで散歩しにきていたりそれぞれゆったりとした時間を楽しんでいた。
こういう時間は20代の頃から好きだ。

半島

まだ行ったことのない海岸を探すのが好きでよく地図を見る。そして、今日はここに行ってみようと場所を絞ったら水筒だけ持って行く。
基本的には朝早く出かけて朝ごはんまでに帰宅する。前から気になっていた場所があったけど、どうやら目的地付近の道は細くて危険な気がしていたので今まで敬遠していた(すれ違い不可能な山道や農道多数)
バイクならそこら辺はクリア出来そうだったからその日はそこを目的地に定めた。
道自体はそんなに狭くなかったけど、住人しか使わない道路ばかりでとんでもなくマニアックな場所だった。草むらをかき分けて出来た道を進むと白い灯台が見えた。
なんともスタイリッシュな灯台だこと。
辺りには人はおらず僕ひとりで海を眺めながら持参したホットコーヒーを飲む。
特別なことはしない。
本当にただ海を眺めて気が済んだら帰る。たったこれだけの事なのにとても楽しくて、今度のお休みはどこにしようとまた地図を開く。
免許取得から一年経てば後ろに乗れられるから娘を連れて色々な海岸を見せてあげたい。

1ミリの差

今、ギターを2本所持している。どちらもFenderのものでテレキャスターとジャズマスター。
メキシコ製のテレキャスターは僕の手に馴染み、今まで弾いていたギターの中で一番弾きやすい。
それとは別に憧れのアメリカ製ジャズマスターを買ったがテレキャスターにはかなわなかった。
試し弾きをし、納得して買ったのだけど家で2本を弾き比べたら差が出てしまった。ジャズマスターのネック幅は1mm広い。それを承知の上で購入したし、普通に弾くには全く問題ないのだけれどテレキャスターに持ち替えた途端、指が動く動く。
たった1mmの違いでこんなにも違うものなのかというほど指が動く。
しかもしなやかに。
高価で良いものが自分にとって最高のギターであるという訳ではなく、納得のいくプレイが出来るのが最高のギターなんだと思う。
色々と悩んだ結果、ジャズマスターを手放すことにした。

オートバイ

今年は色々なことが起き、自分の生活にも少し変化があった。中でもバイクの免許を取得し250ccのバイクに乗り始めたことが一番の変化だった。
若い頃に怖い思いをしてからスクーターすら乗らなかったのに、今は早起きして地元の海沿いを走ったりしている。
とにかく安全運転にトコトコ走るのが心地よい。
もともと機械をいじるのが好きなのでほんの少しカスタムして楽しんでいる。少し古いバイクの為、燃料計がなく、大体のところで給油しなくてはならない。(一度ガス欠になりめちゃくちゃ焦ったけど)また、寒くなるとエンジンがかかりにくくなるのでしっかりと暖機をしなくてはいけなかったり、少し不便なところがあるけど、この形が気に入っているし、僕にとって全てが新鮮な事だから不自由は感じない。
何も考えずに海岸線を走り、農道を抜けまた海に出る。たまに知らない道を通り新たな発見をする。
それだけですでに元は取れている。